第54章 嫉妬。〈花巻貴大〉
「え…。」
だけど、朱鳥は言われた途端顔を赤くして固まった。
別にキスは初めてじゃない。
ただ、今までのはその場の空気とか流れでしてたから、口にしてするのは今日が初めてだった。
貴「なんて…じょうだ…「いいよ。」……え?」
そんな朱鳥を見て諦めて別のしようと思ったとき、朱鳥がそう言った。
「それが貴大くんの望みなら…いいよ?……でも、もう少し人気がないところがいい。」
赤い顔で恥ずかしそうに言う。
貴「……じゃ…ちょっと場所移るか。」
せっかく朱鳥がOKしてくれたんだから、そのわずかな要望ぐらい叶えてやりたくて俺は朱鳥の手を引いてその場を後にした。
で、やって来たのはもう使われていない古い神社の裏。
その壁に朱鳥の背中をつかせた。
貴「本当にいいの?」
「うん。別に初めてじゃないし、大好きな貴大くんのためだもん。」
そう言って朱鳥は恥ずかしながら目をつぶった。
俺はそんな朱鳥の唇にそっとキスをした。
最初はこれでいいって思ってたけど、さっきまでの嫉妬してた思いがぶり返してきて、つい舌を朱鳥の口の中にねじ込んだ。
朱鳥と深いキスするのは初めてだった。
朱鳥は本当に好きで大切にしたいから、朱鳥が嫌がることはしないようにしていた。
だけど、今日は違った。
「んっ…!?ちょ、貴大く……ん!」
ビックリして朱鳥は唇を離したけど、俺は朱鳥の頭を押さえてまた唇を奪った。
そして今度はすぐに舌を入れて朱鳥の舌と絡めた。
どんどん深く、激しくなっていくキス。
俺は気持ちよくて、やめたくないって思った。