第52章 不器用な愛〈青根高伸〉
黄「黒羽~今日もトス練付き合ってくれ!」
「…もう、たまには私なしでなりなよ。私だって暇じゃないんだから。」
放課後、また黄金川くんにトス練を頼まれていた。
私は昼休みのことを思い断ろうとした。
だけど、黄金川くんはちょっとしつこくて私が体育用具室に道具を片付けるとこまでついてきた。
黄「少しでいいから!こう、ツーアタックのやり方が……。」
そう、黄金川くんが腕を上に上げた途端、棚の上にあったダンボールの荷物が当たって落下してきた。
黄「えっ……?」
「えっ!!?」
ドザザザザと音がして、少し経ってから私は目を開けた。
「うぅ…いたっ……って…ちょ黄金川どいてよ…!」
そこには倒れている私の上に馬乗りに乗っている黄金川くんがいた。
二「おい!なんかずげー音したんだけど大丈夫かっ!!?」
すぐに音を聞き付けた先輩達がやって来た。
二「ってなにやってんだお前ら!」
「ち、違います!!黄金川の手が棚の荷物に当たって。」
黄「俺が落ちてきて倒れただけッス!」
私と黄金川くんは慌てて誤解を解こうとした。
二「とりあえずお前、黒羽から……。」
そう言って二口先輩が一歩出ようとした時、
青「朱鳥の触るな。」
先に青根先輩が先に出て黄金川くんから私を離して自分の方に引き寄せた。
黄「スイマセン!!」
黄金川くんは立ち上がって慌てるように頭を下げた。
青「……保健室連れていく。」
「お、おう。わかった。」
私は青根先輩に手を引かれてその場を後にした。