第34章 寝起き 〈国見英〉
そんなことを考えているうちに
予例がなった。
「(あ…予例だ……。)
英…起きて…!!予例鳴ったよ?」
って起こしても
なかなか起きないんだよな……。
英「……。」
英は少しピクッと反応したけど起きない。
「もう…起きてってば!!
授業遅刻しちゃうよ!」
英の肩を揺する。
目は覚めたみたいだけどまだ寝てたいのか目をつぶってる。
「ねぇ英ってば……!!」
ちょっと強く言った途端……
英「…もう…うるさい……。」
機嫌悪そうに起きた英に
ドサッと押し倒され手を握れたまま押さえつけられ私の上に馬乗りになった。
そして
キスで私の口を黙らした。
「んっ……!!?」
驚いて目を見開く。
私の目には英の顔しか写ってなくて一瞬何が起こったのか理解できなかった。
少し長いキスのあと
口が離れると英が私を見下ろした。
「…あ…英……?」
英「朱鳥があんまりうるさいから黙らせた。」
「……。」
英「ついでに俺の気持ちも伝わった?」
「…そ…それって……。」
英「俺は朱鳥が好きだってこと。ま、朱鳥の気持ちは初めからわかってるけど。」
「……っ…。ホント…英はズルいな…。」
まるで私の心を見透かしたような英の言葉に涙が流れた。
英「で、これからどうする?
ただでさえ俺たち2人いないまま授業始まってるのに、ここで戻ったらもっと怪しまれると思うよ?」
「…もう…英の好きにしていいよ。どうせ戻る気ないんでしょ…?」
というか
私だけ戻ろうとしても馬乗りして手を押さえてる英が退いてくれないと起き上がることすら出来ないし…。
「…ん、アタリ…。俺…もっと朱鳥と一緒にいたい。」
そう言うと英はまた
私にキスをしてきた。
それは徐々に深く激しいものになっていった。
平日の午後
静かに吹く風の中
2人の時間は過ぎていった。
END
ー寝起きー