第2章 心を閉ざした君 〈及川徹〉
しばらくして朱鳥ちゃんが泣き止んだ。
泣き止んだ朱鳥ちゃんは相変わらず無表情だったけど少し顔つきが柔らかくなった気がした。
俺は朱鳥ちゃんの手を握って家まで送ることにした。
「ではここ家なんで。及川先輩わざわざ家まで送ってもらってすいません。あと今日はありがとうございました。」
そう言って俺の手から離れて行って家の門を開けようとした。
及「待って!!」
俺は朱鳥ちゃんの腕をグッイと掴んだ。
「!?」
及「元気が出るおまじない教えてあげる。」
「え?」
そう不思議そうに俺を見る朱鳥ちゃんに俺は優しくキスをした。
「……。」
及「……。」
口を離すると朱鳥ちゃんは少し驚いたまま黙っている。
嫌だったのかと思っているとほんのり顔を赤くした朱鳥ちゃんが少し笑った。
「……ありがとうございます。……徹先輩…。」
そう少し恥ずかしそうに言って家の中へ入っていた。
初めて見た朱朱鳥ちゃんの笑った顔と初めて下の名前で呼ばれて俺は本気で朱鳥ちゃんを守ってあげようと決意した。
-心を閉ざした君-
END