第21章 ズルい…―。 〈月島蛍〉
「あ、蛍!!今日も来てくれたんだ!!」
病人とは思えない明るさで僕に笑顔を見せた。
蛍「部活が早く終わったから。はい、これお土産。」
親同士が仲が良いのもあって昔から僕は朱鳥の面倒を見ていた。
「あっ!!ケーキ!?ありがとー!!今日は何?」
蛍「フルーツタルト。」
「あたし好き♪フルーツタルト〜!」
蛍「朱鳥は甘いものならなんでも好きでショ。」
ベッドに付いているテーブルにケーキを箱から出した。
「いただきま〜す!!
やっぱうまーい!!
蛍はまたショートケーキ?本当に好きだよね!見かけによらず…!」
蛍「うるさい。」
ケーキを一口食べると幸せそうな顔をしてヘラヘラと笑い出す。
本当病人とは思えないぐらい普通に……。
「ねー今日は何したの?どんなことあった?」
朱鳥は昔から体が弱かった。だから休む回数も人より多くて行事にもなかなか出られなかった。
そんな中
中3の時に病気を発病した。
その頃から入退院が多くなって今では、高校に受かったもののほとんど学校には来てない。
だからなのか、僕が見舞いに行くと学校や部活のことを聞いてくる。
蛍「別に、いつもと同じ。」
「も〜毎日同じ授業じゃないでしょ〜?」
僕は逆に学校のことを話すと朱鳥が学校に行けないのを悔やんで、辛くなるかと思ってあまり話せないでいた。