第16章 だって好きなんだもん!! 〈夜久衛輔〉
*夜久
黒「今日の鍵当番って誰だっけ?」
海「確か…山本だったと思うが。」
黒「…あいつまさか忘れてないだろうな。」
夜「あーどうだろう…。」
そんな他愛ない会話をしながら体育館の前で俺を含む音駒高校の三年メンバーが待っていた。
すると廊下から走る音が聞こえてきた。振り向くと…
「お兄ーちゃーーん!!!!!」
と叫びながら妹である朱鳥がが走ってきた。
そして
そのままの俺に抱きついてきた。
夜「うおっ!?」
声をあげ抱きついてきた朱鳥をみると
「みっけ♪」
と幸せそうな顔で俺の背中にぴったりくっついていた。
夜「ったく朱鳥、おまえなぁ…いきなり飛び付くなって言ってるだろう?」
こんなのほぼ毎日の事だし、慣れてはいる。
俺が呆れながら注意するが、朱鳥は嬉しそうに微笑んでいた。
海「朱鳥はいつも元気だな!」
「あ、海先輩こんにちは!!!」
その様子を見て海が言い、朱鳥が軽く頭を下げて挨拶をした。
黒「相変わらずスゲーブラコンだな。」
そう黒尾が言うと、
朱鳥は俺や海とは全く違う態度で
「あ、クロもいたんだ。」
と言った。
黒「……。なぁ、ずっと思ってたんだがなんで俺には態度違うの?俺、お前の好きな兄貴と同じ3年なんだけど?」
「フン!自分で考えたら?」
朱鳥は頬を膨らませそっぽを向いた。
黒「…。」
夜「あはは。悪いなこいつ他人をランク付けする癖があって低いと先輩だろうが教師だろうがタメ口になるんだよ。」
仕方なく俺が説明する。
黒「じゃ俺は、低いってことか!?」
夜「ま、そうゆうこと。でもそのせいでよく上級生とかにイジメられてそれで俺が庇ってて…」
黒「で、兄貴にべったり甘えるようになったんだな。」
納得したように黒尾が言う。
夜「…まぁ…たぶんな。」
朱「……だって…しょうがないじゃん…。(直さないといけないのはわかってる…。でもこの人は(黒尾)人をバカにしてそうだし、なんか苦手なんだもん…他だってそう…ちょっとしたことで騒いだりして、本当くだらい…。)」
朱鳥はちょっとすれて俺のジャージをギュッと握りしめた。
夜「あーもう…大丈夫だから…。バレー部は朱鳥とこイジメたりしないから。」
俺はポンポンと朱鳥の頭を優しく撫でた。
「私はお兄ちゃんさえいえばいいもん」