第10章 兄と妹と幼馴染み 〈月島蛍/影山飛雄〉
蛍「朱鳥、もう行くけど?朝練遅れる。」
「うわぁ〜〜ん!!待ってよ蛍ちゃん!!」
目覚ましをかけたのに寝過ごしてしまった私は蛍ちゃんに玄関から呼ばれて慌てて自分の部屋を出て、階段を降りて、玄関に向かった。
蛍「また寝坊したの?本当朱鳥は朝弱いよね。」
「うぅ…だってもうちょっと寝てたいんだもん…。」
蛍「それは遅くまで本読んでいるからでしょ。」
「えっ!?何で知っていんの!?」
蛍「ドアの隙間から見れただけ。」
「だってさ〜面白くなって止まんなかったんだもん。」
玄関でそんな会話をしていると…
母「ほらほら、話なら歩きながらしなさい。そろそろ行かなくていいの?」
そう台所の方から母さんが出てきた。
「あっそうだった!!」
母「まったくも〜。それと朱鳥、朝から家の中走り回らないの!危ないでしょ?」
「はーい…。」
私が返事をすると母さんは蛍ちゃんの方に目線を変え
母「今日も遅くまで部活あるのよね?朱鳥のこと頼んだわよ?」
蛍「わかってるよ。ちゃんと一緒に帰ってくる。」
って頼んでた。
「…。じゃあ行ってきます!!」
蛍「行ってきます。」
そう言って私たちは玄関を出た。
母さんは「いってらっしゃい」と言いながら手を振った。
通学路に出て
「もう母さんはいつまで私のこと子供扱いするんだろう?心配性にもほどあるよ〜もう高校生なのに!!」
さっき言った"朱鳥のこと頼んだわよ"があんまり気にくわない。
蛍「仕方ないんじゃない?朝もあんなバタバタしてたし、怪我もよくするし、その上方向音痴なんだから。」
「そ…それはそうだけどさぁ…………あっ!!」
ふと目を前に向けると見覚えある人物がいた。
「飛雄くん!!」
それは幼馴染みの飛雄くんだった。
「おはよ!!」
飛「おぅ…おはよう。」
蛍「何で毎日僕らと同じ時間帯に王様も出てるの?」
飛「あ゛!!?別にいいだろ!!」
「ああもう〜朝からケンカはやめようよ〜!」
私はケンカを止めようとする。
まぁいつものことなんだけど。
蛍「別に僕が言っていることに王様が勝手にキレてるだけでしょ?」
飛「なんだと!?」
「もう〜ケンカしてないで行くよ〜!」
私は二人の間に入って言い争っている二人の腕を自分の腕に絡ませて歩き出した。