第4章 再会と離別を同時に
ウェンディを救出し、エルザの元に着いたナツ。
丁度エルザの治療をしてもらっているところだった。
その頃ジェラールは、森の奥深くを歩いていた。
未だコブラに後をつけられているのには気付いていない。
時々アギトの様子を伺いながら、辺りを見回している。
「(それにしてもコイツ…心の声が聴こえねぇ)」
コブラは後をつけながら不思議に思っていた。
心の声が聴こえたら後をつける必要がないのにと。
しかし全く、一度もジェラールの心の声が聴こえてないのだ。
そんな時、ジェラールがピタリと止まった。
そこには大きな大樹があり、鎖が幾つも張り巡らされていた。
「(何だ此処は!? 樹海にこんな場所が…まさかブレインの言った通り…此処にニルヴァーナが…)」
コブラが大樹に目を奪われている中、ジェラールは近くの岩にアギトを凭れさせた。
不思議な魔力を宿した大樹に近付き、手を翳す。
ドゴオッと音を立て、大樹が破烈した。
大樹があったところから、全身に莫大な魔力を感じる。
「(遂に見つけた! 俺達の未来…)」
白い大きな光が天に向かって放たれる。
その光に巻き付く様に黒い光が複数現れる。
これこそがニルヴァーナである。
「(手に入れた! 俺達のものだ!!)」
その時、
「…!?」
ジェラールの近くに、鎧を着た緋色の髪の女が現れた。
エルザであった。
「(エルザ!? 復活したのか!?)」
相棒のキュベリオスの毒を受けたハズのエルザがそこにいた。
エルザ存在にの気付いたジェラールは後ろに振り向く。
「アギトっ…ジェラール…」
「エルザ…」
エルザは近くで眠っているアギトを見、ジェラールを見た。
アギトもジェラールも生きてくれていた。
しかし、
「お、お前…どうして…此処に…」
ジェラールが此処にいるのか。
アギトも連れて来たのか。
それを問いかけるエルザ。
しかしジェラールは「わからない」としか答えなかった。