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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第4章 再会と離別を同時に


「さぁ、早くこの男を復活させろ」

「ダメだよ! 絶対こんな奴復活させちゃダメだ!」

「、…」

「ウェンディ…!」

「……」


全く動こうとしないウェンディに痺れを切らし、ブレインが懐にしまってあった短剣を鞘から引き抜く。
そして、意識のないジェラールの首筋へとその切っ先を向ける。


「復活させぬのなら…」

「やめてぇぇ!!」


ウェンディの悲鳴と、短剣が突き刺さる音が洞穴に響き渡った。


「お願い…やめて…」


そう悲痛な呟きを溢し、膝から崩れ落ちるウェンディ。

ブレインが突き刺したのは、ジェラールの首筋から僅か数ミリ横の棺桶の板。
ブレインは黙って短剣を引き抜き、別の手でウェンディの頭を殴った。


「あうっ!」

「治せ うぬなら簡単だろう」

「っ、ジェラールは悪い奴なんだよ!? ニルヴァーナだってとられちゃうよ!」

「…それでも私…アギトさんと、この人に助けられたの…」


ポタポタと涙を流すウェンディ。


「大好きだった…っ…」

「ウェンディ…」

「…何か悪いことしたのは噂で聞いたけど…私は信じない…!」


ぐっと膝に力を込め、立ち上がるウェンディ。


「何言ってんだ! 現においら達は…」

「きっと誰かに操られていたのよ! ジェラールはあんなことするはずない!!」


ハッピーの声を、ウェンディが涙混じりの大声で遮る。


「お願いです…少し考える時間をください…!」

「ウェンディ!」

「……よかろう 五分だ」


ブレインの言葉を聞き、無言でアギトとジェラールを交互に見つめるウェンディ。
ハッピーはこの状況をどうすることもできず、ただただナツ達が早く到着することを祈るしかなかった。


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