第8章 あいつよりもお前【岩泉 一】
目を開けると、見覚えのある天井と顔が見えた
霞む目をゴシゴシ擦って、起き上がろうとすると
「まだ起きんな
軽い脳震盪をおこしている
寝とけ」
そう言われて、体をまたベッドへ倒された
意識はその声ではっきりした
(ここは、保健室?
で、この人、岩ちゃん??)
ズキズキ痛む頭を我慢して、
葵
「岩ちゃん…?」
岩泉
「しゃべんな」
葵
「岩ちゃん、部活は?」
岩泉
「しゃべんなっつたろーが」
「どんだけ心配させたと思ってんだ」
「俺、行くからな」
葵
(待って………)
そう思ったと同時に、私は岩ちゃんのジャージの裾を掴んでいた
岩泉
「///
……なあ、お前さあ、及川のことが好きになったのか?」
葵
「違うよ!」
岩泉
「じゃあ、なんで及川を見てボーッとしてた」