第43章 俺の大好きな妹が遂に結婚してしまった話【黒尾 鉄朗】
葵
「ねぇ、お兄ちゃん!」
黒尾
「なんだよ?」
葵
「悪いねお兄ちゃん
妹が先に結婚しちゃってー」
黒尾
「は?俺は俺が先に結婚しちまったらお前が寂しがるだろーと思って、お前が結婚するの待ってたの」
葵
「お兄ちゃん相手いるの?」
黒尾
「はー?
俺はよりどりみどりだっての!」
葵
「うっそだー!」
ケタケタ笑う葵はもう、昔の記憶にある幼い少女ではなく、今は豪奢かつ純白の華のようなドレスを身に纏う可憐な女性だ
こんなこと言ったらシスコンとか思われるかもしれねえけど、今日の葵は兄の俺から見ても綺麗だ
葵
「あ、そしたらお兄ちゃん
私がいなくなって寂しくなるんじゃなあい?」
黒尾
「ああ、そうだな」
葵
「えっ!?いやいや〜、そこはいつもみたいにさ『俺は別に寂しくねーよ』とか言ってよ」
俺も葵も苦笑いする
葵
「そりゃ私だって…………
お兄ちゃんと離れるのは………なんていうか
ちょっと…………寂しいっていうか…………」
黒尾
「わりぃ、最後声小さくて聞こえなかったわ」
葵
「もう!聞こえてたくせに!
お兄ちゃんがそういう顔するときは決まって私を騙す顔なのもう覚えたから!!」
ムダですー、と言って彼女は下を出すもそれを元に戻しそれから、ふっと笑った
俺も、ふっと笑った