5️⃣
ああ!もう!
秒で行く!
「高専の子ぉやんなぁ。
俺道に迷うてもうて…案内してくれへん?」
おお、直哉さんだ。
この軽い感じも久しぶりで、仁美は苦笑いと一緒に懐かしさを覚えた。
「人待ってるから…多分秒で来ちゃうよ。」
そう言っている内に、すぐに悟が来る。
「……久しぶりだね、直哉くん……。」
「……何だ…悟くんのか。」
つまらなそうに、直哉は舌打ちをする。
(せっかく可愛い子見つけたのに…。)
ぎゅっと悟に抱き締められている仁美を見て、残念そうに直哉は頭をかく。
「…悟くん、面白いの見つけたなぁ…乙骨憂太?
アレどないすんの?」
「……憂太より、真希の心配したら?」
悟がそう言うと、直哉は目を細めて笑った。
「誰それ…。」
そう言って、直哉は悟と仁美から離れて行った。
「……………。」
私の真実の相手は、今世では全くの他人の様だ。
あんなに翻弄されていた20年が酷く昔の様に感じた。
仁美は巻かれている悟の腕をぎゅっと握った。
「何?どうしたの?」
そう聞いて顔を覗き込む悟は、いつも通りに愛情たっぷりの表情で仁美を見ている。
「……ううん…何でもない。」
なんか、やっと今。
散々探していた幸せを噛み締める事が出来た。
「悟……大好き……。」
「?!」
「仁美、今からお家に早く帰ろう!
その愛に応えるにはここじゃ無理だ!」
今にもキスをしてきそうな悟が、我慢できなさそうに仁美に懇願する。
「せっかくのデートなのに…。」
残念そうに顔を伏せる仁美もまた堪らない…。
今夜は寝かせてあげられなさそうだ…。
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