角都
俺からすればお前たちに払う金なら一銭でも高過ぎる。好事家とは物好きなものだ。
イタチ
真の好事家なら、俺たちではなくお前や鬼鮫を買いたがるんじゃないのか?俺たちなら普通に引く手数多の松阪牛だろうが、お前たちは可哀想な仔牛にすらなれずに水田で田螺を食いながら扱き使われる雑役牛だろう。
角都
雑役牛…。凄いこと言うな、お前…。ドナドナで悲しがる奴の言うこととは思えんぞ。そもそも牛が田螺を食うか?
イタチ
松阪牛はビールを呑む。
角都
ああ、まあ、そう聞くな。ムカつく牛だ。
イタチ
ビールを呑む牛ではなく、田螺を食う牛を買ってこその好事家。お前や鬼鮫のようなものにこそ、強い嗜好を抱く愛好家がいるのだ。自分を売り込め。輝け、角都。
角都
…またちょっと何を言ってるかわからなくなってきたな。
俺や鬼鮫に強い嗜好を抱くような妙な輩の話などどうでもいいが、牛は本当に田螺なんか食うのか?
そこがえらく気になる。大体連中は肉食なのか?
イタチ
それはわからない。
イメージで話しているだけだからあまり問い詰めないで欲しい。フィーリングで理解してくれ。
角都
何がフィーリングだ馬鹿者。そんないい加減なことなら余計な口を叩かずに団子でも食っていろ。
イタチ
団子を食いながらでも話は出来るぞ。
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