コミュニティ
カテゴリー | イベント |
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作成日 | 2015-07-15 02:09:45 |
更新日 | 2015-11-09 20:36:10 |
閲覧 | 誰でも可 |
参加メンバー | 9人 |
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トピック
スピンオフ見本①星に願いを/高尾和成→夢主視点(スピンオフ)
慣れない満員電車に体を揺らして帰宅ラッシュの波に飲まれた私は、押されようが、踏まれようが、何とも感じない抜け殻だ。
彼がそばにいない世界がこんなにも虚無で、色のないものだなんて。
そう今更嘆く事は無意味でしかないから、私はその焦燥感に心を委ねて、ただただ、その痛みを甘んじて受ける事で、空っぽな心に幾らかの刺激を足して、ギリギリのところで自分を保っていた。。
窮屈な電車を降り、天井の低い古びたホームを歩き改札を抜けると、少し呼吸が楽になる。空を見上げれば6月の18時の空はまだ幾らか明るく、星の光は薄っすらとしていた。
「和成」
大好きな彼の名前は、ふとした瞬間に無意識に浮かび、その度に不思議な気分に包まれる。黒いさらりとした髪に悪戯な笑顔。大好きで仕方ない彼は、今遠い所にいる。
改札を抜けてから10分も歩けば外は一気に夜になり、星は輝きを取り戻す。
「どうせ一人で泣いてるんだろ?」
そんな彼の優しい声がふと脳裏に聞こえてきそうな、励ますような星空をぼんやりと見上げながら、家路を行く。
大丈夫。
彼は私の事になると柄にもなく切ない顔をしたり、複雑な表情をするから、私の知らない所で心を痛めているのではないかと、心配になる。
どうか、どうか、
大好きな彼が笑顔でいられますように。
星に、願いを。
fin.
2015-07-16 22:34:52
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