コミュニティ

合同企画 オムニバスSS
カテゴリー イベント
作成日 2015-07-15 02:09:45
更新日 2015-11-09 20:36:10
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参加メンバー 9人

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トピック

スピンオフ見本①星に願いを/高尾和成【黒子のバスケ】

ズズっと鼻をすすって空を見上げる。
何時も笑い合ってたはずの公園のベンチに一人座って。
「和成。」
耳を澄ますとあの子の声が聞こえる気がする。
(オレ…何やってんだろ…)
自嘲にも似た溜め息を吐いては携帯のバックライトを灯す。
分かっているのに何度も確認する新着メール。
そこに表示されるのは当たり前の文字。
《新着メールなし》
余りにも大切過ぎる存在にオレの心の中は喪失感しかない。
ホントは弱いクセに強がる彼女。
誰かに甘えたいクセに甘え下手な彼女。
好きなモノの話をしている時の、キラキラした瞳。
サバサバした言動の裏に隠された女の子の部分。
何時だってオレはその全てが大好きで仕方がなかった。
「和成。」
「どったの。」
「思い出…たくさん作ろうね。」
バスケばっかであまり構ってやれないオレはその一言がすっげー嬉しくて、思わず抱き寄せると彼女は腕の中でクスっと笑った。
全てが同じでは無いけど、似過ぎている思考は同じ時間を刻んで行くにはあまりにも心地良くて。
オレは甘え過ぎて居たのかもしれない…
何て思ってみても過ぎた日々が戻るはずもなく。
送っても届きはしないメールの画面をオレは開いてみる。
『オレ…
結局、その先に進まない。
幾度となく繰り返される無意味な行動。
雨が降れば彼女が泣いている気がした。
晴れた日は笑っている気がする。
じゃあ曇りは?
繊細過ぎる彼女の心は不安定で怒り、悲しみ、愛しさ、沢山の感情が入り乱れて一分一秒と目紛しく変わっている気がする。
「和成。大好きだよ!」
「知ってる。オレも好きだし。ぜってー離してやんねぇからな。」
彼女の嬉しそうな姿はオレの心を満たしていた。

どうせ…一人で泣いてんだろ?
喜びも悲しみも…全部オレと分け合えたらいいのにな。
大切な何かを諦める時の…痛みならオレだって知ってんだぜ?
何かに立ち向かう時、そっと背中を押してくれるその手の温もりも知ってる。
だからさ…
だから、オレの願いなんて一つしかねぇーわ。
この先ずっと、あの子が笑顔で居れますように。
一人で泣いてても一人じゃねぇって。
どんなに離れていても、心は傍にいてやるし。
だから、どうか幸せでありますように。
オレは満天の星空を見上げる。
(この先ずっと、大好きなあの子が笑顔でありますように。)
心の中でそっと星に願いを込めた。

2015-07-16 22:31:33

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