第11章 生きるために剣を振れ 【冨岡編 第1話】
──────
ある日、襖が、勢いよく開けられた。
「知令、大丈夫か!」
そこに立っていたのは、炭治郎、善逸、伊之助だった。
炭治郎は、いつものように、心配そうな顔で私のことを見つめている。善逸は、恐怖に震えながらも、私に駆け寄ろうとしている。伊之助は、どこか不機嫌そうに、腕組みをして立っていた。
「…炭治郎さん…善逸さん…伊之助さん…わざわざ来てくれたんですか?」
「知令、色々と大丈夫か?」
炭治郎が、私の手を握りしめた。その手は、温かくて、けれど、私には何も感じることができなかった。
「…大丈夫です。随分と良くなりました。」
私は、そう答えた。実際はまだ完全では無い。でも、あの日から確実に私は進んでいる。
「知令ちゃん…俺、俺さ、知令ちゃんが死んじゃうんじゃないかって、すっごく怖かったんだよ!」
善逸が、私の前で、大声で泣き始めた。彼の言葉に私は感謝した。
そしたらもっと泣いてしまった。あらら。
「おい、善逸!知令は下弦の鬼に匹敵するらしい鬼を倒したんだぞ!凄い奴だ!俺の次に強い!」
伊之助が、そう言って、私の肩を叩いた。
「痛い痛い!…もっと優しくして頂けます?」
「ふん、軟弱だな!俺がもっと鍛えてやる!」
「今度、お手合わせをまたよろしくお願いしますね。」
なんだかとても賑やかになったな。
炭治郎は見舞い品として持ってきたみたらし団子を渡した。
私はみたらし団子を受け取り、口に含み咀嚼する。
醤油の辛さと砂糖の甘さが絶妙なバランスを保っていて、噛む度に白玉団子のもっちりさが唾液と混ざり合いさらに甘くなっていく。
「俺たち、本当に心配したんだ。」
美味しい、という前に炭治郎が言った。
「俺も家族を殺されて妹を…禰豆子を鬼にされた。鬼を許すことは到底できないし、禰豆子を人間に戻したい。だから鬼殺隊に入った。」
「…炭治郎さん。」
義勇が言っていた『妹を鬼にされた男の気持ちは俺には分からない』というのはこの事だったのか。
「…俺には禰豆子がいて独りじゃないけど、知令は1人だ。…きっと君は心の整理なんてついてないと思ったし、今日も…来ようか迷っていた。」
自分事のように炭治郎は苦しんでくれている。