第11章 春日山城
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「(‥ここは、どこ、?)」
久しぶりに見た夢から目を覚まし、見知らぬ天井が視界に入った。
「(琴葉を返してもらえず、1人で上杉・武田軍を追って、急に身体が重くなってその後は‥)」
意識を失う直後の記憶が曖昧だ。琴葉は無事なのか、自分がどこにいるのか、何一つわからない。
「(とにかく‥琴葉を探さないと‥)」
身体を起こそうとしても熱が出ているのか、思うように動かない。
どうにかしてでも起こそうとしていると部屋の襖が開いた。
「?!美桜さん、意識が戻ったのか!」
「さ、佐助く‥ん?どうして‥ここに?それに、ここは‥‥どこ?」
「全て話す。君はまだ休んでおいた方が良い。危篤状態でもあったんだから」
佐助くんに言われ起こしかけていた身体を横たわらせた。
「まず、ここは春日山城だ。それと、俺は上杉謙信に仕える忍びだ。幸って人も武田信玄に仕える武将だ。黙っていてすまない」
「(そういえば、敵に仕えているとは言っていたな‥まさか上杉謙信だったとは予想も付かなかったけど)」
「謝ることはないよ、簡単に言えることではないからね」
「ありがとう。琴葉さんにも同じことを言われたよ」
琴葉の名が出てきて身体が重いのも忘れ、佐助くんの肩を掴む。
「琴葉‥は、どこにいるの?!」
私の剣幕に気圧されながらも佐助くんは説明してくれた。
「君が単騎で追いかけてきた後、顕如による毒矢で君は俺たちの前で意識を失ったんだ。琴葉さんはずっと『私はどうなっても構わない!だから美桜を助けて下さい』って懇願したんだ。謙信様は最初は渋ってたけど、信玄様と俺、幸村でお願いして治療してもらったんだ」
「‥琴葉が‥助けに行こうとしたのにまさか助けられてるなんてね‥佐助くん達もお願いしてくれたんだね、ありがとう」
「友人を見殺しにするなんてできないからね」
会えたら幸村、信玄様に会えたらお礼を言おうと思った。私はところで、と言って一番気になっている事を聞く。
「琴葉はどこにいるの?別室?」
「いや、それが‥‥」
佐助くんから琴葉の居場所を聞き、居ても立っても居られなず身体に鞭を打って部屋を出た。
「美桜さん、無茶だ!その状態で動くとまた悪化する。傷だって少なくはないんだ‥!」
佐助くんの忠告を無視し、廊下を壁に寄りかかりながら歩く