第7章 戦の前
「顕如様、蘭丸です」
「‥入れ」
「失礼します」
織田軍での軍議が終わり、早々に蘭丸は顕如の元へいた。
「何か動きはあったか」
「はい。上杉謙信と武田信玄が生きていたことはもうご存知でしたか?」
「ああ、つい先日春日山に潜入させている部下から報が入った」
「上杉・武田軍は織田との国境付近にある支城を攻めに進軍しています。それに迎え討つために織田軍も早くて明日の早朝には発つかと」
「報告ご苦労。すまないな、酷なことをさせてしまい」
顕如の哀しげな顔を見て蘭丸は笑顔を繕った。
「謝らないでください!全ては我ら悲願のため、最後までついていきます」
「‥ありがとう、蘭丸」
蘭丸が去った後、顕如は部下達を集め戦に介入することを告げた。
「-我らの悲願を叶える時が来た」
報告を終え、安土城まで駆けていく中、蘭丸は苦しかった。
「(顕如様は強い。だから大丈夫だ。でも、織田か顕如様どちらかが負けた場合、俺はどうしたら‥‥考えるな、顕如様のためにこの身を捧げると決めたんだ‥!)」
安土城へ着けば蘭丸も戦へ赴くことになっている。心のどこかで戦わずに終わらせることはできないかと無意識に思っていた。