第2章 本能寺
お寺を脱出した後、男はたくさん幕のあるところへ私たちを連れて行った。
「寺の坊主と密通していた遊女達か、どうやら俺は貴様らに助けられたようだ。礼を言う。」
遊女?一体何を言っているの。と言おうとした矢先、琴葉が先に私と同じことを言った。
「遊女?なんかじゃありません!何言ってるんですか!」
「それはこちらの台詞だ。俺の名を知っている上で助けたのだろう」
「知りません!誰ですか!あなたは!」
琴葉と謎の男のやり取りを静観しているうちに、男の服装に目がいった。
なんでこの人甲冑なんかつけてるの?それに刀、、
まさか、、、、
私の思考を見透かしたかのようなタイミングで男は名乗った。
「知らずに助けたのか。てっきり褒美目当てかと思ったが‥‥知らぬのなら教えてやろう。
俺の名は安土城城主『織田信長』だ」
‥‥まさかとは思っていたが、本当にあの織田信長だったとは、
学生時代、歴史は得意だったから知識はある。お寺でもしや、とは思ったけど、情報が多すぎて気がおかしくなりそう。
琴葉の方は、、空いた口が塞がらないって感じね。その様子じゃ理解するのにしばらくかかりそう。
「つかぬことをお聞きしますが、今は何年ですか?」
「?天正10年だが、それがどうした?」
これで確信した。今は『本能寺の変』真っ只中だということを。
「俺が名乗ったのだから次は貴様らだ」
「美桜です」
「琴葉です‥」
「美桜に琴葉か、悪くない名だ」
「「へ?」」
「信長様!!!!!」