第4章 安土城城下
「お前、男だったら俺の家臣にしれたぜ」
政宗の何気ない一言でハッとした。
「(そうだ、世話役兼体術の師範代とかできないかな。)」
「あの、世話役の仕事をしつつ、体術を教えるっていう役目をいただけることって‥」
恐縮しながら提案してみた。
「良いんじゃないか?こいつの体術を実際見たわけじゃないが、信長様も関心なさってたし、さっきの浪人三人を捕まえた話もある」
政宗は賛成してくれたが、他の人はうーんと捻っている。
「大体、何であんた自ら危ない任に就こうとするの?」
「それは‥タダで住まわせてもらって世話役の仕事もくれました。でも、世話役だけじゃお返しができてない気がするんです」
「美桜様は、真面目な方ですね。私も良いと思います」
三成くんも賛成してくれたが、後の二人がなかなか手強い。
「私からも、お願いします!美桜の技術はすごいし、ここの人たちももっと強く頼もしくなると思います。あと、私も何か別で働きたいです。お針子とか、料理番とか‥」
「秀吉さん、こんだけ言ってるんです。諦めましょう」
とうとう根負けした家康さんが秀吉さんを説得した。
「そうだな‥‥わかった。俺から御館様に伝えておく。」
「「ありがとうございます!」」
「琴葉は良いけど、美桜。問題はあんただよ」
「え?」
問題なんてあった?と思考を巡らせるが思いつかない。
「美桜様は女性の方です。体術の稽古を教えるとなると少し無理があるのでは‥?」
三成くんに指摘され、ああそういう事ね、と気づき、私はこれまた提案した。
「私が男装すれば問題ないと思いますが」
「「‥‥‥」」
一瞬で部屋が静まり、みんなの目が点になった。
「美桜、男装は‥バレない、?」
「身長は仕方ない。とても小柄な男という設定でいくわ」
「いやいやそこもそうだけど!声とか、仕草とか!バレる要素ありまくりだよ‥」
他の四武将達も頷いている。でももう決めた事、変えるつもりはない。
「大丈夫。男装は何度かした事あるし、その時に発声法や仕草も練習したから」
「男装を何度かした事あるってどういう状況だよ‥」
政宗が苦笑いしながら聞いてくる。
「用心棒でよく変装してたの。夜道を歩く時とか‥」
みんな、半ば心配しながらも承諾してくれ、一件落着となった。