第4章 安土城城下
「キャアアアッッッッ!!」
佐助くんと別れようとしたら、突然大通りの方で悲鳴が聞こえた。
「今の、何?まさか、誰かが?!」
「かもしれない。行って見よう」
二人で走って悲鳴の聞こえた場所まで向かうとたくさんの野次馬がいた。
「これじゃ、見えない。美桜さん、君はそこにいて‥って、え?」
さっきまで後ろにいたはずの美桜がいないことに気づき、野次馬を駆けて行くと、美桜が浪人三人を相手に立ち塞がっていた。
「なんだぁ、嬢ちゃん。そこどきな。お前に用はねえんだよ!」
「あなた達に用が無かったとしても、私にはあります。この人、嫌がっているではありませんか」
「その女はなあ、俺達がずっと探してた女なんだよ。邪魔するなら、まずはお前からだぜ!」
「この人達、ずっと私の後をつけてたの‥!」
「?!ストーカー、ですか。何とも汚い、」
「ああ?!すとー?舐めてんじゃねえぞ!このアマ!!」
「(まずい、このままじゃ二人とも無事じゃ済まない‥)」
そう判断した佐助は助けに行こうと一歩歩んだが‥
美桜は、一人目の浪人に回し蹴りを、その軌道に乗って二人の浪人を下突きで、相手の鳩尾目掛けて拳を一発。背後に回られた三人目の浪人を後ろ回し蹴りで気絶させた。
その速さといったら戦国武将並みの能力であり、美しさといったら舞の如く綺麗であった。
「(美桜さん、強い‥
あの体術は、空手か!)」
事態は収まり、佐助は美桜と襲われていた女のところへ向かった。
「美桜さん、びっくりだよ。まさか浪人三人を撃退するなんて‥」
「空手は、幼少期から習ってたからね。これくらい平気。それより‥大丈夫ですか?」
後ろにいた女に声をかけた。
「上質な着物を着ている‥どこかのお姫様なのかな)」
「助けてくれてありがとう。命の恩人よ!それに、とってもカッコよかったわ。私は、千。あなた達のお名前は?」
「私は美桜です。こっちは佐助くんといって、同郷の友人です。もう一人、琴葉っていう友人もいますが、生憎今は寝込んでて‥」
「美桜に、佐助に琴葉‥素敵ね!そうだ、お礼に何かご馳走させて」
「すまない。俺はこれから用事があって、二人で楽しんできて」
「そう、わかった。行きましょう!