第3章 安土城
「‥琴葉?‥琴葉?!」
倒れてきた琴葉の身体を支え、その場に腰を下ろした。私が声を上げたことで秀吉さんも事態に気付き、用意されていた部屋まで琴葉を抱き上げてくれた。
薬学に精通しているというので家康さんが容体を診てくれた。
「疲労による熱です。数日あれば治ります」
「よかった‥」
重い病気とかじゃなくて本当に安心した。驚きと慣れない事の連続で倒れるのも仕方ない。
「ただ‥熱が高すぎるので、しばらく俺はここで様子を見ます」
「助かった。ありがとう、家康」
「いえ‥でも、光秀さんに頼まれてた書状を渡せそうにないので‥美桜、代わりに届けて来てくれる?
「私ですか、?」
呆気にとらわれていた私を家康さんは不服そうな顔で見た。
「俺はまだ認めてないけど、仮にも今日から織田軍の世話役だ。なら、さっそく使おうって思っただけ」
「確かに、適材適所ですね。分かりました、光秀さんに届けてきます」
「まあ、俺もまだ認めてないが、信長様が認めたから仕方ない。ちょっと待っとけ、光秀の御殿までの地図描いてくるから」
「あ、ありがとうございます‥」
しばらくして家康さんから書状を、秀吉さんからは地図とお金を渡された。
「あの、なぜお金も?必要ないと思いますが」
「気晴らしに何か買ったり、食べて来い。琴葉のことは俺たちに任せとけ」
「‥‥ありがとうございます。では、琴葉のことお願いします」
「探すのめんどうだから、道、間違えないでよ」
「家康、素直じゃないなー。こういう時は『気をつけて』って言うんだぞ」
「俺が天邪鬼なの知っているでしょう‥」
「では、行ってきます」
二人のやり取りを微笑ましく思いながら出発した。