• テキストサイズ

あなたに出逢う

第3章 安土城



「‥琴葉?‥琴葉?!」

倒れてきた琴葉の身体を支え、その場に腰を下ろした。私が声を上げたことで秀吉さんも事態に気付き、用意されていた部屋まで琴葉を抱き上げてくれた。
薬学に精通しているというので家康さんが容体を診てくれた。


「疲労による熱です。数日あれば治ります」

「よかった‥」

重い病気とかじゃなくて本当に安心した。驚きと慣れない事の連続で倒れるのも仕方ない。

「ただ‥熱が高すぎるので、しばらく俺はここで様子を見ます」

「助かった。ありがとう、家康」

「いえ‥でも、光秀さんに頼まれてた書状を渡せそうにないので‥美桜、代わりに届けて来てくれる?

「私ですか、?」

呆気にとらわれていた私を家康さんは不服そうな顔で見た。

「俺はまだ認めてないけど、仮にも今日から織田軍の世話役だ。なら、さっそく使おうって思っただけ」

「確かに、適材適所ですね。分かりました、光秀さんに届けてきます」

「まあ、俺もまだ認めてないが、信長様が認めたから仕方ない。ちょっと待っとけ、光秀の御殿までの地図描いてくるから」

「あ、ありがとうございます‥」


しばらくして家康さんから書状を、秀吉さんからは地図とお金を渡された。

「あの、なぜお金も?必要ないと思いますが」

「気晴らしに何か買ったり、食べて来い。琴葉のことは俺たちに任せとけ」

「‥‥ありがとうございます。では、琴葉のことお願いします」

「探すのめんどうだから、道、間違えないでよ」

「家康、素直じゃないなー。こういう時は『気をつけて』って言うんだぞ」

「俺が天邪鬼なの知っているでしょう‥」

「では、行ってきます」

二人のやり取りを微笑ましく思いながら出発した。
/ 120ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp