第3章 安土城
「ほう‥ますます興味深い」
「(まずい、このままだとボロが出そう。何とか三か月、ここに置いてもらい、解放してもらうようにしよう。)」
話を聞いていた琴葉もまずいと思ったのか、震える声で信長様に話した。
「私達、三か月後には、故郷に帰ります。なので、住み込みは三ヶ月間となりますが‥」
「誰が、帰って良いと言った?そうだな、俺と賭けをして一回でも勝てたら、三月後、帰ることを許そう」
「賭け‥とは?」
「追って話す。それまではどこぞの姫として扱ってやる。化粧でも花札でも好きにするが良い」
「それまで、贅沢三見してろということですか?それは無理です。タダで衣食住提供してもらっているのに、気がおかしくなりそうです。」
「そ、そうです!何かしたいです。掃除でも、洗濯でも!」
なぜか広間が静まり返った。私達は何かとんでもない発言をしたのではと思い顔を見合わせる。
「あんたたち‥」
「ほう‥」
「おもしれー」
「真面目な方達ですね」
「ったく」
みんなそれぞれ反応を示し、信長様はと見ると、
「ははっ。おもしろい奴らだ。では貴様らに、織田軍の世話役を命ずる」
「「?!ありがとうございます!」」
「この話は終わりだ。秀吉、昨夜の報告を」
信長様に促された秀吉さんは報告を始めた。
「はっ。昨夜、信長様を襲った賊の正体は確認できませんでした。ただ、信長様に恨みがあるものと見て間違いありません」
広間の雰囲気が変わったのが分かった。
「引き続き、調べるように。軍議は終わりだ」
軍議はお開きになり、各々仕事に戻る。
「美桜、琴葉。お前達に城を案内する。着いて来い」
秀吉さんに言われ、私達は着いていった。
「(広い‥覚えきれない‥!)」
外見同様に中も広く、たくさんの部屋があって覚えづらい。
部屋が多すぎて困惑しているうちに、相槌も適当になっていたのだろう。秀吉さんがこちらを向いた。
「‥おい、聞いていたか?」
「えっと、すみません‥考え事してて‥」
「分かった。もう一度説明しておく」
「(え?警戒しているのに、きちんと面倒も見ようとしてくれているんだ)」
二度目の説明は漏らさず聞いた。
「本当に広いね。明日からまた頑張ろう、琴葉?」
琴葉の方を向いた途端、身体が大きく傾いた‥