【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第4章 後宮の外に毒の華が咲く④
「月娘様」
ちょうどソコに駆け付けて来た壬氏を見て、月娘はゆっくりと立ち上がった。
「……あら、壬氏。今回は逃げ回る期間が少なかったわね…。」
「……………。」
なんか壬氏が来た事で、余計月娘の機嫌が悪くなった。
壬氏はため息を吐くと、しゃがんでいた月娘の足下が汚れていた事に気が付いた。
その裾を壬氏はしゃがんで汚れを叩いた。
「………………。」
そんな壬氏を見て、少しだけ月娘の目が柔らかくなる。
「……その女を罰したいのか?」
起き上がった壬氏が月娘の顔を覗き込んだ聞いた。
その顔はまた月娘のお願いを聞いてくれそうな、瑞月の表情を思い出させた。
「……私がする志願は2つだけ……。」
そう言って再び女に視線を向けて、再び冷たい目線を向けた。
「…正しい証言と……。この女に小閔と同じ末路を。」
そう言い捨てた月娘に、女は泣き崩れた。
「…千将軍には、そう志願書を出そう。」
月娘の怒りは自分の名前を語られた事では無かった。
勝手にそうだと思い、その怒りを止めに来ようとした自分自身を壬氏は悔やんだ。