【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第4章 後宮の外に毒の華が咲く④
月娘は震えて自分を見上げている女を、扇で口元を隠しながら見下ろしていた。
女は今更ながら月娘の名前を偽りで語った事に後悔した。
実際目の前にした噂の毒花は、その目線1つで人を殺せる人間だとようやく気が付いた。
自分如きが語っていい名前では無かった。
やっと自分がなんの罪を犯したのか気が付いたのだ。
「……お前…何故嘘を証言した?」
「っ!申し訳ございません!!私如きがお嬢様の名前を……!!」
月娘は女の言葉を聞くと目を細めて、跪いている女の目線まで腰を下ろした。
目線を合わせてきた月娘の表情に、女は更に顔を青くした。
「何故小閔について嘘を話した?」
真っ直ぐに目を逸らずにそう言った月娘に、女は思わず俯いた。
何故月娘が知っているのだろうか。
小閔は死んだと聞いている。
しかもこの目の前の悪鬼の様な女に殺されたと。
ガタガタと震えている女に、月娘はニッコリ笑った。
「小閔の死因は知っているな。」
あまりにも震え過ぎて、女の奥歯がガチガチ噛み合って暗い牢獄に響いた。