【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第4章 後宮の外に毒の華が咲く④
「……………。」
猫猫がジーッと壬氏を見ているので、壬氏がソワソワしてきた。
「私が思うに、今回の事件では月娘様は本当に無実ですよ。」
「私だってそう思ってるが、薬屋は昔からの月娘様を知らないからだ。」
嫌な思い出を思い出す様に、壬氏は顔を青くして言った。
「確かに少し丸くなったけど、今回の件も自分が利用されたなんて気付かれてみろ。何処で血の雨が降るか分からないぞ。」
確かにあの月娘の冷たい目を思い出して、想像した猫猫と高順の体がブルッと震えた。
確かに月娘のあの目は、誰か人を殺してそうな人間の目だ。
そして月娘は傲慢にも美しい。
紛う事なき唯一無二の毒の華だ。
だけど、猫猫が見た限りの月娘は。
その傲慢はむしろ皇室を思わせる。
産まれた時から人の上に立つと決まっていた月娘は、その素質を全て兼ね備えている。
唯一彼女の邪魔をしているのは、流行り歌だ。
猫猫は誰かが月娘の印象操作をしている様に思えた。
そしてその事すら気にしないでブレずに我が道をいく月娘が嫌いでは無かった。