【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第4章 後宮の外に毒の華が咲く④
そうしたら、月娘の侍女が囁いた。
『月娘お嬢様は、壬氏様に纏わりついている才人を気に入らなく、殺そうとしている。』
「……その手伝いをしてくれと言われて、断れなかったらしい。」
その時の事を思い出しながら、壬氏は呆れた様に言った。
「月娘様の所の侍女が死んだと伝えたんですか?」
「……言ったな……。」
「……………。」
壬氏の言葉を聞くと、猫猫は少し考える素振りを見せた。
「今回は明確に月娘様が関与していないと分かっていたから、その事を問い詰めたら、あっさり全ても白状したよ。月娘様の侍女に協力して貰って才人を殺したと。」
「………………。」
本当に、月娘の名前を出せば、罪から逃れられると思ったのなら。
なんともお粗末な結末だ。
「……結局、月娘様の侍女はなんで死んだんですか?」
「………防家で起きた事に、後宮の皇室の調査庁は動かないさ。」
「………壬氏様は本当に月娘様が殺したと思ってるんですね…。」
「…………思ってないさ…。」
そう言った壬氏の歯切れが悪い。