【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第4章 後宮の外に毒の華が咲く④
才人はきっと、夢を持って後宮入りをしただろう。
皇帝の寵愛を受け。
位は違えど、同じ妃達と毎日お茶を飲み。
自分もやっと高位の位に付け、実家も更に繁栄するのだと。
しかし現実は皇室に力も無い、位の低い妃は、上級妃の侍女にすら及ばない扱いだった。
誰にも相手にされず、皇帝に会う事すら出来ない彼女は。
自分の侍女と2人だけの日々を過ごしていた。
そんな日々に、壬氏だけは彼女を気遣っていた。
下級妃にでも礼儀を守り、彼女の尊厳を大切にしていた。
彼女が壬氏に縋る様になるのは当たり前だった。
日に何度も壬氏を覗きに行ったり、たまに声を掛ける事もした。
なんの希望も無かった後宮暮らに、彼女はやっと楽しみを見つけたのだ。
しかし、そんな楽しい日々も続かない。
いつからは彼女が壬氏に付き纏う事に、周りの目が気が付いた。
それから後宮内での彼女への嫌がらせが始まった。
食事の味を変えられる。
ワザと彼女の宮には掃除に来ない。
許せない事に、下女にすらそんな態度を取られたのだ。