【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第3章 【R指定】後宮の外に毒の華が咲く③
「……まさか他の男の前で媚薬を食べて遊んでたのか?」
「………………。」
そんな事ある訳ないのに。
本気で嫉妬している壬氏の顔に呆れながらも、何故かその心は軽くなった。
いつも自分ばかり嫉妬しているから、少しは壬氏にも、そんな気持ちになって貰いたかった。
「……男の人の前で食べたのは、瑞月様が初めてですよ…。」
そう目を伏せて言う月娘が可愛くて、壬氏は目を細めた。
可愛い。
可愛過ぎて、その愚行を許してしまいそうになる。
「だからって月娘の屋敷にも男の使用人は居るだろう…。」
本当にそれで月娘が遊んでしまったら。
それこそ到底許せない。
「もし、その薬店の男と既成事実でも作ってみろ。」
壬氏が腕を掴んでいる手に力を入れたので、その痛みで月娘の顔が歪んだ。
「その瞬間にその薬店は都から無くなるだろう。」
そう言って壬氏の手が腕から月娘の頬に移動した。
月娘はゆっくりと近付いてくる壬氏の顔に目を瞑った。
ほんの少し、壬氏の唇が月娘の唇に触れる。
それはあの日以来の壬氏とのキスだった。