【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第3章 【R指定】後宮の外に毒の華が咲く③
「他の男が私を放っておくと思ってますか…。」
「………………。」
「媚薬は貴方が貰っている量くらい、私にだって届きます。」
それはそうだろう。
月娘を自分の女にしたい男なんて五万といるだろう。
例え、世間の悪評があったとしても、それすら忘れさせる様な美しい女人が目の前に居る。
この月娘を見て、自分以外の男がどんな目で彼女を見ているかなんて想像もしたくない。
「………なんで食べるかな……。」
「…それは好奇心です。」
お陰で壬氏の前で効かなくなってしまったが、それはしょうがない。
結構癖になって、喜んで食べていたのは内緒にしておこう。
「後宮の外には瑞よりいい男だって沢山います。」
そうして目を逸らして言った月娘に、壬氏はムッとした。
「俺は後宮で月娘以上に美しいと思った女人は居ないぞ。」
怒った顔で自分の手を強く握る壬氏に、月娘の顔は少し赤くなった。
「ですので、私が瑞を待っている必要は無いんです。」
「…………………。」
久しぶりに本気で腹が立って。
壬氏は素の自分が出てきた。