【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第17章 【R18】毒の華は華麗に咲く②
夏潤の独りよがりの様な言葉に月娘は乾いた笑みを浮かべた。
「夏兄様はあの方の事分かってないわね。」
そう挑発的に言う月娘に、聞いていた僑香でさえ驚いた顔をした。
「……何を言ってるんだ?」
「…………………。」
「相手は天下人だぞ。妊娠を望めないお前を妃にするはずがない。」
夏潤が説明の様に言っても、月娘の表情は少しも変わらなかった。
「もし、殿下の一言で正妃になっても子供が産めなかったらすぐにその座も下ろされるんだぞ!!お前はそんな目に遭っても皇室に入ると言うのか?!」
月娘を諭そうと、強い口調で彼女の両腕を夏潤が掴んだ。
少し揺さぶられても月娘は眉1つ動かさなかった。
「あの方が妃は私1人だと言ったのよ。」
壬氏には他にも沢山の妃が出来、自分はその中の1人でもよいと思っていた。
だけど壬氏は絶対にそうしないと何年もかけて月娘に誓ってきた。
月娘は初めて壬氏の気持ちが分かった。
何年もすれ違ってもその気持ちを押し通した彼の意思は。
全て月娘の為だった。