【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第17章 【R18】毒の華は華麗に咲く②
それはただただ夏潤にとって都合の良い言葉だった。
「貴方は何を言っているの?お嬢様がどれだけ殿下を好きだったかずっと見てきたじゃない!」
夏潤の言葉に僑香は怒りを表した。
不妊が夏潤のせいでないとは分かっている。
だけど、あの場で。壬氏の前で言及した夏潤には怒りが治らない。
一方で月娘は、そんな2人のやり取りすら他人事の様に眺めているだけだった。
僑香は泣かない月娘に余計に涙が出るのだった。
「ずっと皇室で侍女見習いをしていた月娘の方が潔いじゃないか。」
夏潤は泣きも喚きもしない月娘を見て言った。
彼女はもう既に事の顛末を理解して受け入れている様に見えたからだ。
夏潤の言葉の通り、一通り泣いた月娘はもう全てを受け入れていた。
「月娘。」
夏潤は寝台に座って月娘の顔に手を触れた。
「お前が昔望んだ通りにこれからは俺達3人で暮らそう。」
それが自分達の本来の姿だと夏潤は思っている。
彼女が自分から離れて皇室に入る事の方が彼からしたら道から外れた事だった。