【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第9章 花街に毒の花が咲く⑤
軽く済むと思っていた体罰は。
今まで以上にキツいモノだと覚悟した。
(別に体罰位慣れてる…。)
少しの痛みを我慢すれば、壬氏が迎えに来てくれる。
夏潤の腕が上がったのを見て、月娘は目をギュッと瞑った。
頭の中で考えた事は。
昨夜の壬氏の笑顔だけだった。
「!!!」
思った様な痛みは無かった。
あったのは、首元に触れた夏潤の唇の感触だった。
「っ!夏兄様!!」
別に油断していた訳では無い。
夏潤は今まで月娘に、その邪な気持ちを隠してはいなかったが。
こうして身体に触れて来る事はした事が無いからだ。
いつも月娘に与えるのは体罰だった。
「うっ…辞めて下さい!!!」
この部屋でどんなに月娘の悲鳴が聞こえても、誰も来る事は無いと分かっている。
体罰を与えられる月娘が叫ぶなんていつもの事だったから。
これは昨夜の壬氏と同じ行為なのだろうか。
触れてくる感触に大差は無かったが、込み上げて来る気持ちはだいぶ違った。