【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第8章 【R指定】花街に毒の花が咲く④
「壬氏様は…それはもう我慢していました。」
「……………。」
「月娘様を取られない様に、月娘様に興味が無いフリをして、他のご令嬢とも過ごし、月娘様との関係は秘密にして、いつか2人で過ごせる日だけを目標に生きていました。」
「………………それって、月娘様には伝えていたんですか?」
「………………。」
高順の説明に僑香は真顔で聞いた。
「それをそのまま月娘様に伝えていれば、ここまで拗れなかったのでは?」
無表情で高順に圧をかける僑香に、高順はたじろぐしか出来ない。
「……だから、その我慢のネジが外れれば、ああなるのは必然です。」
「…………………。」
我慢をやめた男の本気はああなるのか…。
僑香はぐったりしている月娘に、頑張れと親指を立てた。
しかし、僑香は心配だった。
このまま壬氏が壊れたまま表に出てしまったら、この茶番の全てがぶち壊されてしまうのではないかと。
「月娘の肌は白くて綺麗で、髪も絹の様に美しい…。」
「………………。」
(あ… 月娘様が限界だ…。)