【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第1章 後宮の外に毒の華が咲く
「貴方達は先に行ってなさい。」
月娘 は自分の侍女たちにそう言うと、その場に高順と壬氏と月娘が残った。
「…貴方が皇帝を支えたいと私との結婚から後宮に逃げた後…。」
月娘の言葉に、壬氏の肩がビクッと跳ねた。
「その前から瑞月……私は貴方の女人であった事はある?」
月娘の真っ直ぐに見る目線に。
壬氏は目を逸らす事すら出来なかった。
何も答えられない壬氏に、月娘は自笑した。
「貴方がそんななのに、何故私が貴方の為に毒の華と呼ばれると思う?」
心底軽蔑する様な目で、月娘は壬氏を見た。
その月娘の顔が美しくて。
壬氏は責められていると分かっているのに、慈悲の言葉も出なかった。
「心底どうでもいいからよ。」
止めを刺す様な月娘の言葉が壬氏に刺さった。
「……何よ…今更傷付かないでよ…。」
胸を抑えて震えている壬氏に月娘は冷たく言った。