【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第1章 後宮の外に毒の華が咲く
月娘はそれ以上壬氏の話をしたく無く、礼儀を欠かさない程度で、玉葉妃の部屋を後にした。
帰り道は行きと違い、月娘は足元を見ながら歩いていた。
そんな月娘の前に、2人の影が見えた。
そうかもしれないと予感と共に上げた目には、やはり壬氏の顔が見えた。
壬氏は月娘と目が合うと、一緒体を強張らせた。
そんな目の壬氏に月娘の目も更に細くなる。
「……玉葉妃に会いに来たのか?」
「……………。」
この宮で会ったのなら、それ以外何があるのか…。
緊張した様に声を出した壬氏に、月娘は呆れた様な顔をした。
無言で壬氏に近付くと、月娘は徐に壬氏の股間をギュッと握った。
「??!!!!」
壬氏と高順の顔が一瞬で固まり、その場の空気が凍りついた。
「な!!何をするんだ!!」
壬氏は赤い顔をしながら、月娘の手を払い落とした。