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【名探偵コナン】Redo*misty【降谷 零】

第4章 優柔と懐柔


目覚めると、窓の外は日暮れだった。
言葉通りすっかり寝て過ごしてしまった。

工藤邸での生活も2週間、その間にすっかりとだらけてしまっている。
沖矢がいれば食事は出てくるし、いなければ食べたり食べなかったり適当だ。
必要なものがあればリストにまとめて、次の日には用意されている。

かろうじて2日に1度の洗濯と、毎日のお風呂掃除は自分の担当だけれど…。
これでは実家に寄生して、少しの家事だけ手伝うニートのようではないか。

でも、やる気がおきないのだ。
引きこもるというのは、心身に良くないということが良く分かる。
このまま腐ってしまいそうな気さえしてくる。

あれから事態の進展はないし、降谷の動向もわからない。
肝心なことはなにひとつ知らされていない。
今度は蚊帳の外ではなく、鳥籠の中に閉じ込められてしまった鳥のようだ。

『違う違う…』

自らが選んでここにいるはずなのに、そんな思いを抱えてしまう。
こんな考えは彼らに申し訳ない。

『守ってもらってるの…』

自分に言い聞かせるように呟いた。

二日酔いもすっかり抜けたことだし、お風呂の準備でもしておこうと1階へ降りると、沖矢とコナンがいる。

『おはよう』
「さん、もう夕方だよ?」

これは呆れられても仕方がない。

『んー、二日酔いがひどくて寝てたの』

駄目な大人の見本のようになってしまった。

「さん、明日からしばらくの間はお酒を控えて」

少年の声のトーンが下がった。
何かが起ころうとしているのかもしれない。
気を引き締めて、ソファーに腰を掛けた。

『何か…あるの?』
「しゅ…」

と言いかけてコナンはフリーズした。
修学旅行に行くと伝えそうになって慌てた。
なにせには、工藤新一という自身の正体を明かしていない。

『しゅ?』
「りょ、旅行に行くんだ!だからしばらくここには来れなくなるから、警戒してねって」
『旅行かぁ…いいなぁ』

気楽な一人旅を思い出す。
なにひとつ気楽でも、楽しい旅でもなかった。

「さんも、事態が落ち着けば行けるようになるよ」
『落ち着く日って…いつ?いつになったら…?』

早2週間、されど2週間、ここに缶詰だ。
組織犯罪がそう簡単に片付くとは思えない。
こんなことを少年に言っても仕方ないけれど、つい口から出てしまった。
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