第26章 【呪術廻戦】DOOR【3】
「大丈夫ですか」
その時。
五条の耳に声が届いた。
慌てて振り向くとそこはいつの間にあの大広間へと変わっていた。
声をかけてくれたのは、ピンク頭の男だった。
「ひどい汗……。それに涙も……。先生を呼んできましょうか?」
「いえ、大丈夫です」
額から流れる汗と瞳から零れる涙を拭って、男は深く息を吐いた。
「無理しない方がいいですよ」
と、ピンク頭の男性。
「随分と興奮していたみたいですね」
と、ポニーテールの女性。
彼女が言葉を発するのは珍しく、3人は彼女を見た。
白い髪の男だけが深々と頭を下げ、「すみませんでした」と謝った。
「2050年。プログレスサイエンス。50年後ですね」
「その頃には私達、おじいさんおばあさんになっちゃってますね」
「……ドラえもんに、会えるでしょうか」
ぽつりと呟いた白髪の男の言葉に。
4人は首を傾げた。
そして自分の発言に自分でも驚いた男は「なんでもないです」と言い、「そろそろ部屋に戻りましょうか」と提案した。
大広間の扉の向こう。
廊下では硝子が、白衣のポケットに手を突っ込み中の様子を窺っていた。