第25章 【虎杖悠仁】ときめき
「悠仁、オマエ彼女いるってまじ?」
昼休みの1年1組の教室に当たり前のようにいる五条悟の言葉に、虎杖悠仁は飲んでいた牛乳を盛大に吹いた。
口の端から零れるそれを拭う事も無く、慌てたように首を横にふる。
「か、彼女じゃなくて幼馴染だから」
「でも毎年誕生日祝う仲なんだろ。去年の誕生日はクレーンゲームで取ったぬいぐるみらしいじゃん」
「……なんで五条先輩がそんなこと知ってんだよ」
「傑から聞いた」
「なんで夏油先輩そんなこと知ってんだよ!!!!」
顔を真っ赤にして虎杖は机をバンと叩いた。
その様子を少し離れた場所で見ていた同級生の釘崎は、同じく少し離れた場所で寝ている伏黒に声をかけた。
「あんた知ってた?」
「あ?何が」
「虎杖に彼女がいたってこと」
「ああ。桜ヶ丘女学院のやつだろ」
「知ってんだ」
「この前、一緒に歩いてるとこを見た」
伏黒は大きなあくびをして、机に突っ伏す。
「ふーん」と興味なさそうに反応する釘崎だったが、その心中は穏やかではない。
自分より先に虎杖に恋人がいるという事実に、釘崎はなぜか腹が立ち眉を寄せる。
五条と未だに喚いている虎杖をじっと見ながら、釘崎は何かを思いついたように唇を歪ませた。