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【雑多】be there【短編集】

第24章 【呪術廻戦】DOOR【2】







「通り過ぎた扉を、その目で逆から眺めてみればいいじゃない。いつでも戻ることができるんだよ。悠仁!!見てろよぉ、いつか、いつか私だって奥さんとよりを戻してやるんだからぁ……」

言いたいことだけ言った夏油は再び、テーブルに突っ伏し寝息を立て始めた。
その様子を黙って見て虎杖は、口をきゅっと結んだあと、小さく伏黒の名前を呼んだ。

「あのさ、伏黒」
「ん?」
「俺、やっぱりかっこつけてたのかも」

みっともない姿を晒す夏油の姿は、他の人間からしたらかっこ悪く映るだろう。
だけど虎杖目にはそうは映らなかった。
こんな醜態を晒しながらも、自分の気持ちを、自分の本音を言う夏油の姿はかっこよく見えた。
建前と嘘で塗り固められた自分の方が、よっぽどかっこ悪い。

昔の友人に自分の弱さを曝け出すのは照れくさい。
相当な勇気がいる。
それをいとも簡単に夏油はやってのけた。
いや、夏油だけではない。
東堂も伏黒も五条もみんな。
自分の弱さを曝け出した。
曝け出したと言うよりは、暴露されたに近いが。

昔の自分と今の自分。
その違いに、昔の自分があまりにも眩しくて。
だけどそれを口にだすのは怖い。

「プライドみたいなものが、さ。なんか、あんじゃん」
「わかるよ、虎杖。……みんな、そうだって」
「なぁ……」

虎杖が何か言いかけた時、トイレに籠っていた二人の足音が聞こえた。
二人は「ゲロ吐き部隊、参上!!」と、ヒーローが変身をするときのようなポーズを取った。
先ほどまでの静かな空間は二人によってぶち壊された。




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