第24章 【呪術廻戦】DOOR【2】
「月に一回くらいは会いに行ったりしてるのか?」
「いや」
「なんで?たまには会ってやれば?」
「いいんだよ、離れ離れで。……離婚したんだから」
まさか夏油が離婚するとは思わなかった。
なんて言えばいいのかわからずにいる二人に夏油は笑う。
教育費がどうのこうの子供の教育はどうのこうの。
そういうものが煩わしかった。
家庭というのもは結局子供ができればそれが全てになる。
当たり前ではあるが。
そうなると、資金は女性が握ってしまう。
存在価値がわからなくなってしまった。
大黒柱、一家の主。
その言葉に騙されて、嫌になったと夏油は言った。
「気楽でいいよ」
そう言って、氷が溶けて味の薄くなった酒を一気に飲み干してそして咳込んだ。
口の端から零れる酒なのか涎なのかわからない液体を拭う夏油は、虎杖をまっすぐに見つめる。
酒が回って据わっている瞳なのに、その鋭さに虎杖の心臓は大きく跳ねた。
「悠仁の話し聞いてたけど、つまらない男になったね」
「は?」
「空間が違うとか超えたとか、悠仁はね、通り過ぎたものを振り返りすぎなんだよ。通り過ぎて後ろ振り返ってるくらいなら、勇気を出して後ろの下がってみればいいんじゃないんですかぁ⁉」
「夏油さん、水飲みましょう」
テンションが明らかにおかしい夏油に、伏黒はすかさず水を差しだした。
渡されたコップを掴んで一気に降下する。
緩くなった口元からは、水が零れ首を濡らし服も濡らした。
それを気にすることなく夏油は袖で口元を拭いて、もう一度虎杖に向き直る。
虎杖はただ、夏油の勢いとその言葉に静かに耳を傾けるしかできない。