第24章 【呪術廻戦】DOOR【2】
二人の空間は少しだけ静寂が流れる。
この沈黙が虎杖にはとてもうるさく、痛く、居心地の悪いものだった。
お互いに次に出る言葉を探しているような。
だけど、それを破ったのは伏黒だった。
「東堂の話しを聞いてさ、どう思った?」
「ん?何が?」
「役者。本当にダセェ、無理だって思ったか?」
「……そう、思う反面、正直ちょっと羨ましいなって思った、よ。伏黒、お前だってそうだろ?30手前にまでなって結婚もしないで好きな事やってんだもん」
「結婚はお前だってしてないだろ」
「俺はだって!!……いいんだよ、俺の話しは」
「……まぁ、確かに結婚もしないで好きなことをやってたら、そりゃあ羨ましく思うよな。でも、この年になったからこそ好きな事を続けていくって言うのは大変だろ。夢を追いかけてるみたいだぞ、二人とも」
二人。
虎杖は眉を寄せた。
東堂と、もう一人は誰だ。
「五条さん。あの人の家、名家じゃん」
「うん」
「家を継ぐために勉強とか留学とかしてたらしいけど、それ捨てて教員免許取るための勉強してるんだって」
「へぇ……、教師……」
「あと、東堂」
「役者、になること……。……本当、だっせえよなあいつ!!」
「虎杖。本当のこと言えって」
「……………ちょっとだけ、羨ましい、かな。ちょっとだけな」
「かっこつけんなって」
「しつこいな、お前!!」
同じ問答を繰り返す彼等。
そこから抜け出せ居ないのは、意識や感情がそういうサイクルをし続けているせいだ。
伏黒は、夏油をちらりと見ると「この人も大変なんだよ」と小さく零す。
何が大変なのか。
虎杖の視線が夏油に向けられたのを確認すると、伏黒は口を開いた。