第1章 はじまり
火影室の帰り私はいつものように花畑の前に来ていた
任務開始は今晩。
「さて…と。皆んな今日もよろしくね。」
そう言ってたくさんの蝶をその場に放つ
私は油女一族と少し似ており、蝶を操る血継限界をもった一族の一人だ。
(と言っても、生き残りは私だけなんですけど)
戦いの前はこうやって蝶に毒のある花の蜜を吸わせる
「ん、よく頑張ったね。」
淡いピンク色の蝶が私の元へ戻ってくる時には濃い桃色や真っ赤に染まった状態で戻ってくる
この子達は吸った毒の強さによって色が異なる。
赤ければ赤いほど、強い毒を吸ってきた証拠だ。
毒の強さにムラがあるのは暗部で働く上で好都合だった。
殺す必要がある相手には猛毒を
生きたまま連れて帰る必要のあるターゲットにはその場で意識を失い手足に痺れや後遺症が残る程度の毒を
その時々に求められた強さで戦えるのは尋問の時にも便利で機密情報をより多く扱う暗部では使いやすい忍術だった
「ね、皆んな。今晩はあのはたけカカシさんと一緒の任務なんだよ。ここまで来れたのはみんなのおかげ。本当にありがとうね。さ、撤収撤収〜」
蝶たちにそう声をかけて手を伸ばす
たくさんの蝶が自分の元へ一斉に戻った
「あっ、偉い。普通の蜜を吸ってきたんだね」
桃色や赤色の蝶に紛れて数匹透き通った蝶が飛んでくる
普通の蜜を吸った私の蝶は羽が透明になる
こういった蝶は毒はないものの尾行などに向いているのだ。
他にも特定の蜜しか好まない追跡に特化している蝶がいたり、薬草の蜜を吸った蝶もいたりと、同じ蝶でも皆役割がそれぞれある。
小さい頃から気色の悪い忍術だと言われ続け私はこの蝶が好きなのか、嫌いなのかいまだにわからずにいる。
しかしこの子達のおかげで今の自分が人の役に立っているのは確かだ。
「よしっ。皆んなありがとうね。あとは一度帰って私の方の準備して…ちょうどいい時間かな?」
そうこうしているとあっという間に任務開始の時間が訪れた