第2章 生きる為に背負う者
まじまじと見られたことがなかったため少し恥ずかしくなる
「隊長としてやらなきゃいけないことをしてるだけ…で……
そう言いながらの方を見るとかなり近い距離に彼女がいることに気づく
(わっ、ちょっ…近い近い近い)
「…?カカシさん?」
急いできたからかまだ面をつけていない彼女はオレの気持ちも何も知らずきょとんとこちらを向いていた
吸い込まれそうな瞳に柔らかそうな唇にきめ細やかな肌…
暗部上忍の任務は基本的に数日がかりになる為彼女が化粧をしていないのはあきらかなのに
どうしてこんなに綺麗なんだろうか
巻物を持つ手を片方だけ離し、無意識に彼女の頬に添える
柔らかそうな唇をそっと親指で撫でると一気に彼女は真っ赤になる
「か、カカシさん!?し、しっかりしてください!」
「へ?」
(マズイ、欲望のままに体が動いていた)
「ちょ、ちょっとどうしたんですか?ね、熱あります!?それとも私の口に何かついてましたか?い、言ってくれたらよかったのに!すみません!」
あたふたしながらオレの手を取りハンカチで拭く
(いや、オレが触ったのに、どこまで礼儀正しいんだ?)
「…いや、ほんとごめん……、えっと、その…な。面をつけないとダメだぞって…」
苦しすぎる言い訳をする
本当に最近のオレはどうかしている
おそらく以上に真っ赤になってるであろう自分の顔を面で隠せていることだけがせめてもの救いだ
「あ、そ、そういうことだったんですね…すみません…急いできたので付けるの忘れちゃってました」
(信じるのかよ…)
あまりにも不自然な言い訳を素直に信じて彼女はいつもの面をつける
「…バッチリですっ!」
はオレの方を向き直りピシッと立った
その姿を見ると同時に視界の端に硬直した猫の面を被った男が入る
「あれ、テンゾウ?」