第1章 はじまり
小さくなりかけていた彼女の背中を見て走り出す
「おい、!置いてくなって」
おでんの良い香りがすると暖簾を掻き分け席を見渡す
隣には既にどれを食べようか目を輝かせるがいた
「もう、完全に置いて行ったでしょ」
「卵が売り切れてしまったら大変なので!」
「はぁ。卵が好きなのね。」
「あとは餅巾着と、昆布巻き、ちくわも好きです!」
「それもう、ほとんどだね」
なんとなくその姿が可愛らしくて、座ろうと椅子を引くと同時に思わずの頭を撫でた
「…えっ?」
明らかに動揺した彼女の瞳はやはり綺麗だった
「ごめんごめん。つい、可愛くってさ」
「か、カカシさん、それみんなにやるんですか?ダメですよ!」
顔を真っ赤にしながらは目線を逸らす
「ははっ普段はしないよ。そもそもこんなに人と話したのもいつぶりかわからないくらいだし」
「そ、そうなんですね。勘違いする女の子が出てきちゃったら可哀想なので…ダメですからね!」
「は勘違いしない?」
「えっそりゃ、カカシさんと私は大きく違いますし、こうやって一緒にご飯を食べられることもすごく光栄に思っているので。」
(勘違いしてもいいのに)
ふとそんな思考が頭をよぎる
えっ、オレは何考えてるんだ!?
「そんなかしこまらなくても、オレもも同じ上忍なんだからさ」
咄嗟に思考を切り替えるためにそう声に出す
「…本当にカカシさんは優しいんですね。ありがとうございます。」
伏し目がちにそう笑うはまた切ない顔をしていた
「さて、早く頼まないと卵売り切れるぞ」
「わ!それはだめ!あ、あの!卵一つお願いします!
あ、あと、昆布巻きと、ちくわと、餅巾着も!」
「あいよ〜。そっちの兄ちゃんは?」
「あ、オレも彼女とおんなじやつで」
「はーい。ちょっと待っててね」