第1章 はじまり
カカシside
外に出るとすっかりあたりは暗くなっていた
「少し風が吹くと冷える季節になりましたね…って、カカシさんはノースリーブですけど」
「あはは、任務中は体よく動かすから暑くなるでしょ?これが1番効率的なの。」
「見てる私の方がちょっと寒くなっちゃいます」
「…お腹、まだ余裕ある?」
「えっ?あ、はい。私結構食べる方で」
照れくさそうにが笑う
「じゃ、おでん屋さん、ハシゴしない?」
「ふふっ、いいですね。でも、カカシさんやっぱり寒かったんでしょう?」
腕にぴとっとが手をつけると
ドクンと心臓が鳴る
(まただ。ドキドキするって、こういうことなのか…?オレ、どうしちゃったのかな)
「やっぱり、めちゃくちゃ冷えてますよ!早くいきましょう!」
オレの気持ちも何も知らず、パタパタと先に駆け出すの背中を少し眺める
「まぁまぁ、そんなに急がなくても」
「体を動かしたら少しは温まりますから。あ、これ…」
そういうと彼女は振り返り肩にかけていたストールをオレの方に投げた
「私は長袖なので使ってください!」
「いやいや、いいって…」
そういうものの、彼女は先におでん屋さんへ向かっている
「まったく、意外と強引だよなぁ」
そっとストールを肩にかける
ふわりと香る甘い香りにまた心臓がどきどきと音を立てた
(あーもう…オレ、本当にどうしちゃったんだ?)
オビトが死んで、リンを殺してから、
オレはがむしゃらに生きていた
あの悲劇を繰り返さないために自分ができる事を必死に探しながら、
オビトが目指した世の中を作るためにと言い訳をしながらなんとか生き続けていた。
自分は自分の人生を歩むことを諦めていた。
むしろ、オビト達の人生を背負って生きなきゃいけないとずっとおもっている。
それなのに、彼女と過ごしたここ数日間自分ははたけカカシとして感情が揺れる事が本当に多い。
他の人と彼女の違いはなんなのだろう。
どうしてこんなに頭の中が彼女の事でいっぱいになってしまうのだろう
の香りがするストールを羽織りながら頭をブンブンとふり思考をリセットする