第29章 5回戦
大会5日目。
会場に到着した湘北は、試合の準備にとりかかる。
もちろんあなたはマネージャー業をこなしていた。
荷物を運ぶため、会場内を歩く。
手に選手のものがたくさん抱えられており、前が見えにくい状態となっていた。
ドンッッ
あなた「っわ、ごめんなさいっ!!」
?「大丈夫かい?」
あなたは顔をあげる。
あなた「あ、翔陽の…」
?「おや、俺を知ってくれてるのか」
あなた「もちろんです!」
藤間「湘北…か。今日はよろしくね」ニコッ
あなた「…こちらこそ!負けませんよ」ニコッ
藤間「悪いが勝つのは俺たちだ」
あなた「いいえ私たちです!!!」
藤間「………ふっ、あははは」
あなた「なっ、なんですか!」
藤間「君が戦う訳じゃないのに、すごい自信だね」
あなた「当たり前じゃないですか!みんなのこと信じてますし、うちのチームは強いんです!」
藤間「…いいマネージャーが居るんだね湘北は」
あなた「それはありがとうございます」
そんな話をしているとあなたの後ろから来た人にぶつかられ、転けそうになる。
咄嗟に支えた藤間だったが、抱きとめる形となってしまった。
藤間「っ!!」
それと同時に匂う、落ち着く香り。
いつも自分に寄ってくる女たちのキツい香水の匂いとは違う、とても爽やかで自然なあなた自身の匂いだった。
あなた「ご、ごめんなさい…」
藤間を見上げたあなたは、先程の強気な表情とは一変し、眉毛を下げ申し訳なさそうにして、すぐにパッと離れた。
藤間「っ……、大丈夫だ」
いつも寄ってくる女たちであれば、なにかと理由をつけて自分にまだくっついているだろう。そして顔を赤くしているであろう。
なのにあなたはすぐに離れ、顔も赤くない。ただ申し訳なさそうにしているだけであった。
藤間はそんなあなたが気になった。