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《降谷夢》bonheur {R15}

第75章 幸甚



『大丈夫ですよ、気にしてませんから。
むしろ…、あの時は喝を入れてくれて
感謝しています…。ありがとうございました。』


大「…フッ。そうかよ。
んじゃ、また長野に来た時は声かけてくれ。
上手い蕎麦の店、教えてやるからよ。」


『はい!!』




最後にペコリと頭を下げた私は
諸伏警部を連れて、病室に戻って来た。





『大和警部って、見た目は厳ついですけど
とても優しい方ですね。』


諸「…そうでしょうか、人相だけでなく
口も悪いので、大体の人は彼が警察官とは思わないでしょう。」


『あははっ、確かにそうですね!』





諸伏警部を車椅子からベットに移動させる手伝いをし、私はそのまま近くの椅子に腰掛け、
大和警部の悪口を言っている諸伏警部の言葉に笑い続けていると、諸伏警部はそんな私をジッと見つめていた。






諸「…あの、若山さん。」

『はい?』

諸「本当に私が退院するまで、長野に残るつもりですか?」

『当たり前です。病院を抜け出す代わりの条件、
忘れてないですよね?
怪我が良くなるまで、側でお世話と監視…させてもらいますから。』


諸「ふぅ…、全くあなたは…
景光が言った通り、とても頑固なようですね。」




…悪かったですね、頑固で。




でも、例え何を言われようと
私は諸伏警部の世話をする義務がある。


弟との諸伏くんから、守ってほしいって頼まれたのに、怪我をさせてしまったから…

せめてもの償いでもあるんだ。





『諸伏警部、お茶でもいれましょうか?
それとも、お見舞いの果物でも切って…』

諸「…若山さん。」


『…?はい。』


諸「病院を抜け出す時…
私が何かを言おうとしてやめたこと、覚えていますか?」


『え…?』




…あ、そういえばそんなことあったな。




いきなり手首を掴まれて、
何でもないって言われてすぐに手を離されて…



ちょっと不思議な出来事だったから
私はすぐに思い出し、あの時のことを聞こうとする前に…





『っ、ちょ、ちょっと……』





…諸伏警部はベットから少し身を乗り出し
椅子に座っている私との距離を縮めて来た。





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