第75章 幸甚
ーーー…
犯人も無事に捕まえる事ができ
協力者としての仕事も終わった。
犯人の林は、風見さんが連行して行き
事件の後処理も全て終わったと聞いた、その翌日ー…
私は諸伏警部が入院する総合病院にいる。
大和警部と上原刑事が
諸伏警部のお見舞いに来たと看護師から連絡をもらい、彼を車椅子に乗せて、ロビーにやって来た。
大「まったくてめぇは…、無茶しやがって。
まさかあの時、無理矢理病院を抜け出してたなんてな。」
高「君も似たようなものでしょう。」
…まぁ、大和警部も怪我はしていないとはいえ
雪崩に巻き込まれて死ぬところだったのに
林を逮捕するまで病院には行かないって言い張ってたらしいからね。
大「大体なぁ、俺が死んだフリしてたこと
高明、お前知らなかったのかよ。」
諸「ええ…、微塵も。」
『…そんな目で睨まないで下さいよ。』
騙してたのはもう既に何度も謝ったのに
まだ許してくれていないのか、
諸伏警部は不機嫌顔で、車椅子の背後にいる私を睨みつけて来た。
上「私も、コナンくんから聞かされて知ってたけど…」
『私は諸伏警部には黙ってるように言われたんですけど
どうしてコナンくんは私にも教えてくれたんでしょうか…』
諸「おそらく…、あの少年は
2人を悲しませたり、苦しませたくなかったんじゃないでしょうか。それは我々警察とは違う、きっと公安とも違う…
彼なりのやり方なのかもしれませんね。」
大「…よくわかんねぇな。」
『ふふっ』
…確かに、言葉では上手く説明できなくて
よく分からないけど、
私には、コナンくんの思いやりや優しさが
なんとなく伝わってきたように思えた。
大「ってか上原、
お前知ってたんならアレはないだろ…」
『…?アレって何ですか?』
話を詳しく聞いたところ
長野県警で、みんなが一緒にいる時に
大和警部が死んだと聞かされた上原刑事は
悲鳴を上げるほどの大泣きをしていたそうだ。