第75章 幸甚
『あの子…、何かする気なの…?』
私達と同じように林を追っているようだけど…
危ないから止まるように声を掛けようとしたが
その瞬間、銀色のドームからレーザーの光が放射されていて、コナンくんはその光を見上げていた。
『まさか…、あの光…』
大体の予想がついた私は
コナンくんを止めるのをやめた。
あの子なら…
きっとやり遂げるだろう、と
不思議とそう思えたから。
しばらくすると光は消え、
風見さんが運転するこの車は
林の台車をもうすぐ追い抜くところまで来ていた。
そして、再びレーザーが照射されるのと同時に
風見さんの車は停車し、毛利さんと風見さんは車を降りた。
風「若山さん、貴方は絶対に
車から降りないで下さいね!?」
『…分かってますよ。』
私に念を押す風見さんの勢いは
今まで見たことないほどの圧で
私は大人しく車の中から外の様子を伺った。
すると、再びレーザーの光が照射され
先程よりも低い位置に伸びた光は
空中にいたコナンくんが載っていた残骸に反射して、林の乗る台車の側面から光を当て、運転席へと差し込んだ。
あんな光を浴びたら、目が眩むに違いないな…
そう思いながら、
今度は先程車を降りた毛利さんと風見さんに目を向けると、風見さんではなく…
毛利さんが銃を持って、林の車に向かって銃口を向けていた。
すぐさま3発の発砲音が聞こえ、驚いていると
毛利さんが撃った弾は、台車の動力に当たり
大きな爆発を起こした。
『まじか…。すっごーい……』
毛利さんの射撃の腕に感心していると
車は爆発の爆風で揺れ、治ったところで私は車を降りた。
毛利さんは、落下してくるコナンくんを助ける為、持っていた銃を風見さんに投げ捨て駆け出していた。
コナンくんは地面に落下する前に
毛利さんがキャッチしてくれて無事なようだった。
『はぁ、もう…、ハラハラさせる子なんだから…』
…まぁでも、怪我はしていないようだし
良かったのかな。